北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
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〈中略〉北海道近代文学懇話会のこと北海道近代文学懇話会という新しい組織が生まれた。一九九四年六月二十五日のことである。当日は、午後二時半から八時まで、講演二本、総会、懇親会が行なわれた。講演は、中山昭彦さん(北海道大学)「大正教養主義と漱石」と、薮禎子さん(藤女子大学)「「社よのか会な」の発見」。参加者は、講演会九十名、懇親会五十二名であった。本会の発足に携わった者の一人として、覚え書きを記しておきたい。なぜこんな会を構想したのかといえば、北大の先輩らの確執がもとで、若い人々も含めて動きがとれなくなっていることと、本州からやってきた研究者や、北大出身以外の研究者と、私たちの交流がほとんどないというこ創映出版『妖』一号一九九四年九月とによる。はためには、国文学における、当地でのある種の北大中心主義は、かなり閉鎖的なものに映っていた(いる)ようだ。この二点が、主たる動機とはいえようが、それならばいっそ、映画や美術、哲学関係の人にも中澤千磨夫 加わってもらおうと、欲張ってみた。本会設立の経緯をさらっておく。平原一良さん(季刊   なってくれるよう依頼書を送った。「発会の主旨」は、と私(北海道武蔵女子短期大学)の三人が、設立に向けて本格的な打ち合わせを開始したのは、今年になってからだった。講演のお二人を含め、多くの方にお会いしたり、電話でお話ししたりした上、この三人が、北海道近代文学懇話会(この時点では仮称)世話人会の名で、五月二十七日、六十名ほどの人に、本会の設立発起人に平原さんが書いた。発起人をお願いしたのは、二十代から四十代までの人。それ以上の方を敬遠したというわけではないが、面倒なことは避けたかった、というのが本〈中略〉結束の模索『credo』編集人)、立花峰夫さん(北海道情報大学) 第3節 様々な意匠75920 

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