北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
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7 大昭和製紙北海道 都市対抗野球で初優勝拓銀は横綱と、ガップリ四つ相撲に取り組んだ。三回ヒットの加島をバントで送り、出雲右前打でまず一点。四回、遠藤二塁打のとき日石は投手黒沢から五月女に交代する。一球目、鈴木は意表をつく三前バントで一、三塁とするや、続く佐藤(信)はスクイズで遠藤を迎え入れる。二死二塁に野並が中前へ。この回2点。合計3点のリードである。日石は五回、野並から鈴木が左翼へホームラン。しかし、どうやら日石ベンチには焦りが見え始めたようだ。拓銀組みし易しと、頭から呑んでかかっていたのが、先手先手と取られ、一向に良い目が見えてこない。北崎監督は、審判の判定に疑問を持ちはじめた。いったん猜疑心が湧いてくると、判定がすべて拓銀有利に動いているように見えてくる。そして八回、ついにベンチを飛びだした北崎監督は球審に食ってかかる。試合は15分間にわたって中断された。日石が、カッカと燃えている一方で、拓銀は反ってどんどん冷静になって行く。拓銀ベンチから、さかんに野次が飛びだす。灼熱日石と沈着拓銀の差は九回にも現われ、ダメ押しの2点。このときにも日石は選手をベンチへ総引き上げして、試合を中断している。5―1。ついに拓銀は、ビッグ・ゲームで初タイトルをものにした。準々決勝の壁を破ったばかりか、日本一の王座についたのである。紙吹雪が舞い、七色のテープが波打ち、カラーボード      が踊る。踊り上がって喜ぶ選手たち、ベンチ前で、安藤監督のからだが二度、三度宙に舞った。つづいて助監督の高梨、779〈一九七四年〉北海道の原野に黒獅子旗を初めてひるがえす大昭和製紙野球部史編集委員会『大昭和製紙野球部史白老編北の若き獅子たち』(北海道立図書館所蔵)一九八五年第3節 社会人スポーツの隆盛と翳り

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