教育委員会の皆様え〔(英文併記〕この年の瀬に立つて、北海道教育者の皆様方の上にやがて来らんとする新年の御幸福と御成功とを心から祈るものであります。顧れば一九五○年の道程に於て立派な事業、しかもなお継続して行つて居られる事業が皆様方の手に依つて起されたことであります。まず目につくことは、重要な関心増加が、学校図書館、生徒指導、職業教育並びに成人教育に示されたことであります。そして事実上多くの学校が此の方面に於て施設を整え或は実際に活動を開始しました。実際に於て、義務教育方面などには優秀なプログラムが続々と出来る事でありましよう。高等学校の通学区制が実施された当時、相当数の利己的な人達がある程度の混乱を起し反対を示しましたが、『北海道教育委員会月報』一巻七号編者注)一九五一年一月それらを押切つてなしとげた所にも大きな進歩前進が見られました、けれどもこの学区制は年々慎重に検討し且、最も実際に即するような修正を必要とするものであります。かつて置換された以前の制度の中に見られたような沈滞した衰退的な制度にならない様、心から望んでゐます。近来大部の北海道人の関心、民主社会では万人万様の教育を享ける機会に対して権利を有するという健全な理念が培われてきているということは注目に値します。とは云え、たとえ少数ではあつても我がもの顔に振舞う利己的な学校長や、教師や、父兄が今も尚いて、旧日の封建社会の下に享受したと同じ特権を固執しようとして教育基本法とか憲法とかを曲げて解釈するのであります。これらの人々はこう云います。「子供達の能力に応じての教育の均等をば憲法が保証するとは農民、労働者、その他団結してゐない有力者に非ざる家庭の子弟達を高等学校教育の恩典より閉め出すような権利と権力とを学校長に与えることである」と。教育委員会への指導 第2部 教育 第1章 占領下の教育改革19 822
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