北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
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北海道教育課程について広袤八千平方粁に亘る地域に四百万の人を散布している北海道は、戦後我が国土として残された四つの島の一つで、国家の将来に大いなる希望を繋いでいる処である。しかし、地域は所謂北辺の寒冷地帯に属していて半歳を雪の中で暮すのであるから、他の三つの島々とは非常に事情が相違している。荊蕀八十年の開拓史を振返つてみるならば、洵に今昔の感を新にする程の発展を見ているのであるが、産業経済、文化の上においては今日なお開発の途上にあるこの北海道、が本州各府県のそれと同じであつてならぬことはいうまでもない。蓋し、北海道教育課程設定の必要の大いなる所以であると思う。殊に本道教育の現状は、地域によつて一様ではないが、これを義務教育の面についてみても、二千三百校の七十パーセントが単級複式の学校であり、そこに従事する二万三千の教職員の半数近くは助教諭での解説』一九五二年此処に実施される教育ある。勿論、校舎や施設の面においても決して十分とはいえない。この現況下において地域社会と児童生徒の実情に即した教育を実施するためには、この現実に基盤をおいて教育課程の整備が考えられなければならない。今や国家は北海道総合開発法を制定して、本道におけ─   課題が横わつているのである。一方、教育は自然環境のる資源の開発、施設の拡充、生産の増強を企図せられこれによつて国内過剰の人口から起る難題を解決する有力な環境たらしめようとしているのである。しかしてこの計画を実施し、推進する力は人であり、その結晶を生活や社会文化の上に齎らして真に意義あらしめるものも人である。とすれば、総合開発計画の究極には人間育成の中にあつて、社会を通して行われる人間形成の営みであるといわれるが、われわれの意図する教育課程が、本道の課題である総合開発計画と深い関連を以て考えられなければならないことは論を俟たない。今回発表された北海道学校教育目標は、教育課程編成の第一着手として労作せられたもので、それに盛られた841第2節 地域教育計画と研究体制

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