北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
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②豊富村教育委員会の要請書要 請 天塩郡豊富村立日曹小中学校児童生徒に対する給食の実施及び学用品の支給方を要請申上げます。理 天塩郡豊富村日曹炭鉱は豊富な地下資源開発並びに戦後国家再建の原動力として綜合開発推進企業界の一線に在つて石炭需用と相俟つて昭和二十五、六年には月産一万二千余噸の採炭可能な大規模施設を完備し爾来多数従事者の入山に伴い学童数の急激な増加を辿り、小学校十四学級、中学校六学級の編成を見、本村一の学校として炭鉱側の多大な協力を得て整備充実に進んで来たのであります。更に同炭鉱は村財政上唯一の財源の途として期待され本村発展に大きな影響を寄せたのでありますが、其の後デフレーの影響、生産コスト高の原因、業界の不振等に伴い昭和二十九年に入り急激に炭鉱経営が不振におち入り、関係者はこれが再建に奔走するも自然休山の天塩郡豊富村教育委員会 現状に立至り目下日曹炭鉱地帯住民の生活は極度に深刻化し従つて小学校四五八名中学校二一九(一月三十一日現在)の児童生徒の教育上憂慮すべき事態を招くにいたつたのであります。全く収入の杜えた炭鉱生活に在る児童生徒は学用品の用意困難はもとより食生活にも大きな苦痛を感じ、過般学校側は同校PTA会と協議の上午前中授業の措置をとり、村教委に於いても学用紙類の支給、粉乳の給与等これが対策上努力して居りますが、同条件におかれる小中学校児童生徒六七七名に対する救済も本村財政上容易ならざる事情にありますので何んとか事態御賢察の上道費及び国費等により完全な給食の実施、学用品の支給等の措置を講ぜられるよう謹んで要請に及ぶ次第であります。北海道教育委員会教育長 昭和三十年二月七日豊富教育委員会教育長 殿豊富村-   由書(北海道立文書館所蔵 A一四一 一八一〇)田島  孟 印 長 朝日 春吉 印 900第2部 教育 第4章 小学校・中学校

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