北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
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しかし高校生らしさ、といっても、それがイコール〝詰めえり〟と直結させるのは、われわれに先入観があるからかもしれない。たとえいくつかの効用はあっても〝制服でなければダメ〟という十分な説得力ある理由が見当たらなかった」(笠岡校長)というのがいつわりない心境のよう。自由化後の指導方針としては両校とも「バッジ、生徒手帳の携行厳守。質素、清潔、機能的で華美に流れず、勉強にふさわしい服装を」ということでアフタケアしており「具体的にはケース・バイ・ケースで判断してゆく」そうだ。従来の制服については両校とも「着ても着なくてもよい」という形で残しているが、開成高では〝標準服〟と呼び「着用が望ましい」と指導しているせいか、自由化後もまだ八―九割は制服組。制服以外では男子はジーパンにポロシャツ、セーター、ジャンパー、女子もセーター、ブラウスにミニスカート、またはミニのワンピースといったところがおもな服装で、さすがにホットパンツやヒッピースタイルは現われず、教師たちをホッとさせている。この長い間の慣習を破り、先生や父母を不安に陥れた〝服装革命〟について、開成高二年のある男生徒は「自由化すれば不良になる、みたいな論法は、全く生徒をバカにした考え方だ。ぼくたちだってバカじゃないから、服装の使い分けぐらい出来ます。もっと信頼してほしい」といい「授業に落ち着きがなくなるのでは」と心配していた教師たちも「かえって伸び伸びした感じ」と思いすごしだったことを認めている。このほか北星高の場合は、生徒会が十年前から変わっていない生徒心得の不合理な部分を改廃する運動のなかで制服問題を取り上げたが、関心度が高いテーマだけに、これまで全く低調だったホームルームの討論が活発になり、生徒の自治意識が高まるという副産物もあった。しかし、自由化の実施で反対意見が沈黙してしまったわけではない。道教委の田中保学校教育課長は「一種の郷愁といわれるかもしれないが、制服こそ高校生らしい第3節 高校教育の課題と高校再編937    

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