北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
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資料7は、町村金五北海道知事が、一九六一(昭和三六)年八月に国に対して提出した農山漁村電気導入事業に関資料9は、十勝農村文化協会『地下水』(一九六〇年)に掲載された、農家の嫁が置かれた立場について書かれた高度経済成長期に入ると、農山漁村社会のインフラの整備が進み、耐久消費財の購入も一般化し、農家・漁家は次第に消費経済に巻き込まれていく。する要請書の一部である。北海道の農山漁村の電化は、一九五二年の農山漁村電気導入促進法制定以来、急速に進展したが、なお無電灯戸数が三万二千余戸存在した。農山漁村生活の中にも次第に家電製品や自動車が普及していく。資料8は、置戸町雄勝2婦人会の『生活きろく第1集』(一九六七年)から二人の生活記録を引用している。一つは、妻が自動車学校へ通っている様子が描かれている。文面からこの時期、農家の女性たちの間で自動車免許を取得することが一般化していることが分かる。もう一つは、妻が昼休みにテレビを見ていると、突然夫が注文した冷蔵庫が配達されてきた際の記録である。子どもたちが喜ぶ傍らで、家計のやりくりに思いを巡らす妻の様子が描かれている。高度経済成長期には、農業労働力の流出が進み、労働力不足という事態が生じてくる。長期にわたる過重労働からくる慢性疲労など農漁民の健康問題が浮上する時期でもある。若者の都市への流出によって農山漁村社会の活気が失われ、農漁業や農山漁村に対する消極的な評価も生まれてくる。農山漁村生活における生活様式の変化農山漁村生活における様々な問題状況第二節 高度経済成長期の農山漁村社会81解 説     (2) (1) 

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