北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
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弱児への教育の必要性や盲・聾学校の児童生徒、職員研修の実情を示し、厳しい財政状況の中でも、特殊教育の振興の重要性を述べている。一九五○年に、文部省は「特殊学級設置について」を発出し、各都道府県に養護学校の設置及び特殊学級の設置の要望を行った。本道でも盲・聾教育の義務教育が開始され、特殊学級等の設置に関心が向けられるようになった。独自の調査として道教委や北海道大学、北海道立教育研究所、道民生部等の関係機関が委員会を設け、緊密な連携の下、大がかりな標本調査が実施された。この調査で得られた精神薄弱児の推定出現率などの結果は、その後の行政施策に活かされる貴重な資料となった。殊教育の普及率の低さを指摘するとともに、特殊教育の孤立化を防ぎ、迅速な普及と充実を図ることに強い関心を持った記述が見られる。北海道では、一九四九年に紋別郡雄武町立雄武小学校に戦後初めて特殊学級が設置され、以後道内各地域において特殊学級が少しずつ設置されるようになった。また、一九四九年に札幌報恩学園内に私立養護学校が設置されたが、精神薄弱児の公立の養護学校設置の機運が高まり、特殊教育関係者や親の会などの熱心な設置運動が実って、一九五八年に道立初の養護学校として、北海道札幌養護学校が開校された。その後も関係者の多くの要望を受けて、一九六一年に肢体不自由教育の北海道真駒内養護学校、六四年には北海道札幌琴似養護学校(現北海道手稲養護学校)、北海道旭川養護学校が開校されるなど、各地で養護学校の設置も進められた。資料2は、盲・聾学校の道立移管当時の北海道教育委員会(以下、道教委)の教育行政概要の一部である。精神薄資料3は、北海道における特殊児童実態調査の第一報告である。北海道の精神薄弱児の実態を把握するための本道資料4は、一九五九年の道教委教育長による「教育月報」の巻頭言である。憲法や教育基本法の理念に照らし、特特殊教育の機会拡充964    (2) 第2部 教育 第7章 障がいのある子供の教育

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