二千円近くを要する現状から充分とはいえない。少くとも月額千円は補助すべきだと思う。又更に経費節減と寮教育徹底のため、児童福祉法による寮盲施設が望ましいのであるが、設備貧弱の道内各校では当分設置がむずかしい。現在は稚内、室蘭の二校だけがこれをもつている。その外生活保護法の適用、ララ(公認アジヤ救済機関)物資による援助、市町村の就学勧奨等今後の努力にまつべきものが多い。職員の陣容はととのつているか。不遇な子らに光明を恵ずるものは何といつても教師である。現在、全道盲ろう学校教員約百名中、専門の国立盲教盲学校出身者は只五名であり、更にそのうち四人までは盲ろう者である。これに反し盲人教師ろう唖教師は全体の約二割、六〇才以上の老教師も亦二割に近く、最も中堅となるべき専門教養を受けた壮年男子がわずかという遺憾な状態である。それで、当委員会としては札幌に盲学校臨時教員養成所を設け、十三名の教員を養成する外、昨夏は一週間の講習を開き、又五〇万円の研究奨励費を支出するなど、教員の資質向上と保持につとめているのであるが、少なからぬ欠陥をもつ本道の教師陣容を整えるには、更に一段と徹底した恒久策を樹立せねばなるまい。 しかしあの不遇な子等の、尊い教育のため、道民の暖である。今後これを整備充実することは最も重要なことである。概数ではあるが建築費二億円以上と設備費一億円以上、計三億円以上を要することと思われる。い理解と協力により是非これを達成しなければならない。それが新憲法と新しい学校教育の趣旨であるから。施設の問題と本道特殊教育の将来現在十二の道立校いずれもその設備は極めて不十分北海道教育研究所『研究紀要』三十号(北海道立図書館所蔵)一九五八年一二月3 特殊児童の実態調査(3) (4) 970第2部 教育 第7章 障がいのある子供の教育
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