北海道現代史 資料編3(社会・文化・教育)
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の学校で一五~二〇人の精薄児が、在籍数一、〇〇〇人の学校で三〇~四〇人の精薄児が存在することになり、この程度の規模をもつ学校では特殊学級を設けることが望ましいといえよう。現在道内には精薄児を対象にした特殊学級が小学校三二学級、中学校一八学級あり、小学校では三四二人のものが、中学校では一七二人のものがそれぞれ特殊教育を受けているが、これは全精薄児の一%強にすぎず九九%のものは普通学級の中に含まれ、特殊教育からは全く除外されている状態である。特殊教育に寄せて教育長 (北海道立図書館所蔵)一九五九年六月教育の機会均等は憲法や教育基本法に謳われていて、特殊児童とよばれている子供達もそれぞれの能力に適応した教育を受ける権利が保証されている。このことは戦後とみに高まつた男女平等の精神に基く共学が実施普及されたことと全く同一趣旨であるにもかかわらず、特殊教育の普及率は未だに低い。先天的或は後天的な理由によつて不幸にして心身に欠陥をもつ児童・生徒といえども、国民の一人として変りなく、人間性の尊厳を認め、これを尊重することは、われわれ社会人の連帯責任である。これらの児童もふさわしい環境と適切な指導によつて社会の一員としての生活技術を身につけるに至るものであることは、多くの実例によつて明らかである。この教育の実施には多額の経費と優秀な教員を必要とすることは勿論であるが、それらも帰着するところ、この教育に対する教育界一般の理解と協力の上に培われるものであり、特殊教育を一般教育とは別なものであると尾見 鐐次郎 いつたような考え方や態度は厳にいましめ、特殊教育の4 特殊教育の現状北海道教育委員会『教育月報』№一三○974    第2部 教育 第7章 障がいのある子供の教育

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